当院では動物用内視鏡システムを導入し、消化器疾患の診断および治療を積極的に行っています。大小2つのビデオスコープを備えていますので、猫や小型犬から大型犬まで対応可能です。症状を言葉で伝えられない動物の診療に、高画質な画像が威力を発揮し、日常診療の頼れる”目”として観察・診断に役立ちます。また、オーナー様の不安に対して、動画による明確な説明が可能になります。
1慢性あるいは急性の吐き気(嘔吐)、下痢はありませんか?
こんな症状が現れたらご相談ください。
おおまかな診断までの流れは…
正しい診断をしないと、適切な治療方針は決定できません。オーナー様と相談の上、決定していきますので、ちょっとした不安がある方はお気軽にご相談ください。
2動物たちはこんなものまで飲み込みます…
症例1:靴下の誤食
X線(横画像)
レントゲンにて胃内に何かありそうですが、なにかは分かりません…
内視鏡(胃内)
内視鏡にて初めて異物と確認できます。それでも何かは不明です。
摘出物
開腹手術をすることなく、内視鏡にて摘出できました。内容物は靴下です。内視鏡による摘出であれば、日帰りでの帰宅も可能です。
症例2:ボールとその他もろもろの誤食
バリウム造影(横画像)
この写真では異物はなさそうですね。
バリウム造影(縦画像)
人工物様の丸いものがありそうです。ボールかな…
つかみにくい異物はバスケット鉗子にて摘出できます。
摘出したボール
直径2cmほどのゴム製のボールでした。
その他の異物
ボール以外にも様々な異物を認めたので、可能な限り摘出しました。
症例3:若齢犬、食欲旺盛、数か月に1回ほどの嘔吐、最近の吐血、誤食疑いないとの主訴
空腹のはずなのに、胃が膨らんでいます。まさか腫瘍…?
胃の形がくっきりしています。異物ではないと言うけれど…試験開腹かな?
いきなりの開腹は動物に負担があり、手術計画も立てづらくなります。まずは内視鏡で確認。異物と分かります。吐血の原因は異物による胃粘膜からの出血でした。巨大すぎて内視鏡での摘出は困難ですので、開腹手術となります。
摘出した異物 異物
胃内をすべて占拠するほどの巨大な異物。これでも前日までは食欲旺盛です。
切断した異物 異物
かなり固く普通のハサミでは切れません
じゅうたんなどの切れ端を核に人間の毛髪が幾重にも重なって…塵も積もればとはまさにこのことですね。
症例4:高齢猫、時々の嘔吐、元気食欲あり、急性のショック
胃内にガスが充満しています。異物ははっきりしません。
X線(縦画像)
これでも何の異常か?はわかりません。
内視鏡(十二指腸内)
胃を出てすぐの腸内に異物が詰まっています。粘膜の色も悪く、内視鏡での摘出は困難です。
十二指腸
内視鏡で確認済みなので、手術がスムーズです。
摘出した異物
とても硬く、はさみでもなかなか切れません。こんな物は家にないそうです。
切断した異物
リビングなどの絨毯を少しずつ食べて、時間をかけて胃内で団子を作製したのですね。