猫の慢性鼻炎とは?くしゃみや鼻水が続く原因と検査の必要性
「猫のくしゃみがなかなか止まらない」
「鼻水が続いていて、薬を飲むと少しよくなるけれど、やめるとまたぶり返す」
このような症状が続くと「風邪が長引いているのかな」と考えるオーナー様も多いでしょう。
長引くくしゃみや鼻水は、原因を確かめないまま様子見を続けるより、鼻の中で何が起きているのかを早めに調べることが大切です。
今回は、猫のくしゃみや鼻水から考えられる「慢性鼻炎」、症状、治療方法について解説します。

■目次
1.猫の慢性鼻炎でみられやすい症状|受診を考えたいサイン
2.猫の慢性鼻炎が治らない原因|鼻炎の奥に別の病気が隠れていることも
3.猫の慢性鼻炎はどう調べる?|原因に近づくための検査方法
4.薬でよくならない猫のくしゃみ・鼻水に、次の一手を考えるとき
5.まとめ|猫の慢性鼻炎は「長引くなら原因確認」が大切
猫の慢性鼻炎でみられやすい症状|受診を考えたいサイン
慢性鼻炎は、ひとつの病気の名前というよりも、鼻の中で炎症が長く続いている状態を指します。
猫の慢性鼻炎では、くしゃみや鼻水が長く続きます。鼻水は透明なこともあれば、黄色っぽく粘り気を帯びることもあり、症状の出方は猫によってさまざまです。
猫は体調の変化を分かりやすく見せない生き物のため、「元気はあるから大丈夫」と判断せずに、以下のようなサインがみられたら早めに動物病院に相談しましょう。
・鼻づまり:呼吸をするときに「ズーズー」「ブーブー」といった音が聞こえる、睡眠の質の低下
・においが分かりにくくなる:食事への関心が落ちてフードを食べる量が減る
・涙目になる:鼻の炎症で涙の通り道が狭くなっている状態
その中でも、とくに注意したいのは以下のような症状です。
・片側だけ鼻水が出る
・鼻血が混じる
・顔つきが左右で違って見える
これらは単なる鼻炎だけでなく、鼻の奥に局所的な病変が隠れている可能性も考える必要があります。
診察時には、くしゃみの頻度や鼻水の色、呼吸音の変化が大切な情報になります。可能であれば、症状が出ているときの動画や鼻水の写真を残しておくと、診察時に状態を伝えやすくなります。
猫の慢性鼻炎が治らない原因|鼻炎の奥に別の病気が隠れていることも
猫の慢性鼻炎は、原因がひとつとは限りません。
最初はウイルス感染をきっかけに始まった症状でも、その後に鼻の粘膜の炎症が残り、慢性的にくしゃみや鼻水が続くことがあります。
一方で、「慢性鼻炎」と思われていた症状の奥に、別の病気が隠れていることもあります。
◆ 鼻腔内ポリープ
鼻の中の粘膜がふくらむことで、鼻の通り道が狭くなり、鼻づまり・鼻水を長引かせます。
◆ 鼻腔内腫瘍
片側だけの鼻水や鼻血、顔の変形、薬が効きにくい経過などがみられる場合があります。
◆ 異物
植物片やほこりのかたまりなどの異物が鼻の奥に入り込み、くしゃみにつながります。
◆ 真菌感染
カビの仲間が鼻の中で増え、炎症が続きます。一般的な鼻炎治療では改善が難しいです。
◆ 歯の病気
口腔内のトラブルが鼻に影響することも見逃せません。上あごの歯の根元と鼻の中は近い位置にあるため、歯周病や歯の根の炎症が鼻の症状として現れることがあります。
このように、猫のくしゃみや鼻水が長引く場合は「ただの鼻炎」と決めつけず、鼻の中や口の中を含めて原因を探ることが重要です。
猫の慢性鼻炎はどう調べる?|原因に近づくための検査方法
猫の慢性鼻炎を調べる際は、まず症状の経過を詳しく確認します(問診)。いつからくしゃみが始まったのか、鼻水の色はどう変化しているのか、治療でどの程度改善したのかを伺いながら、原因を絞り込んでいきます。
診察では、顔や鼻の見た目、呼吸音、目の状態、口の中の状態などを確認します。
必要に応じて、血液検査、レントゲン検査や麻酔下での詳しい評価を行い、全身状態や鼻以外の病気が関係していないかも見ていきます。
<鼻腔内視鏡でわかること>
鼻腔内視鏡は、細い内視鏡を使って鼻の奥を直接観察する検査です。
外から見ただけでは分からない異物、ポリープ、腫瘍性病変、粘膜の変化などを確認しやすくなります。
また、組織を採取し、病理検査につなげることもあります。これにより、見た目だけでは判断しにくい病変について、より具体的な診断に近づくことができます。
木下動物病院では、非常に細い内視鏡を用いて、鼻腔内の観察、生検、異物摘出に対応できる設備を備えています。慢性鼻炎の猫で「なぜ治らないのか」を探るうえで、鼻腔内視鏡は有力な選択肢のひとつです。
薬でよくならない猫のくしゃみ・鼻水に、次の一手を考えるとき
猫のくしゃみや鼻水は、薬による治療で落ち着くこともあります。炎症を抑えたり、細菌感染に対応したりすることで、症状が軽くなるケースも少なくありません。
しかし、根本となる原因にアプローチできていない場合は、薬をやめると再び症状が出ることがあります。そのため、「体質だから仕方ない」「慢性鼻炎だから治らない」と考えて終わらせるのではなく、経過によっては再評価を考えることが大切です。
とくに、次のような場合は、詳しい検査を前向きに検討したいタイミングです。
・治療しても何度もぶり返す
・くしゃみや鼻水が長期間続いている
・片側だけ鼻水が出る
・鼻血が混じる
・食欲や体重に影響が出てきた
・呼吸音が以前と変わってきた
慢性鼻炎の診療では、次々と検査に進むのではなく、症状の経過や猫の体調、年齢、生活環境を踏まえて、必要な検査を段階的に検討します。
当院は、必要に応じて大学病院などの高度医療機関とも連携しています。
「ちょっと風邪かな?」と思ったときのかかりつけ医として、また「なかなか治らない鼻水や鼻血が気になる」といった場合なども幅広い症例に対応いたします。
まとめ|猫の慢性鼻炎は「長引くなら原因確認」が大切
猫のくしゃみや鼻水は、日常で見られやすい症状です。そのため、最初は「少し様子を見よう」と考えることもあるでしょう。しかし、鼻づまりは呼吸のしづらさや睡眠・食欲にも影響し、猫の健やかな暮らしを妨げることになります。
「長引いているけれど、受診するほどなのか迷っている」
「薬を続けているのに、なかなかすっきりしない」
そのような場合でも、当院までお気軽にご相談ください。
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