BLOG

2023.11.28JBVP年次大会2023 に出席しました!

こんにちは☺️

動物看護スタッフの桂田です。

 

先日ホテルニューオータニにて行われた、JBVP(日本臨床獣医学フォーラム)主催の年次大会に行ってきました🙌

コロナ対策が緩和された影響もあり、会場にはたくさんの参加者がおりましたが、ホテルの落ち着いた空間でのびのびと講義を聞くことができました😌

難しい内容も多くありましたが、新しい学びや情報のアップグレードができ、また知識欲が刺激されとても良い経験となりました!✨

 

今回はたくさんの講義の中でもわんちゃん、ねこちゃんのオーナー様に知っていただきたい『糖尿病』について、少し深掘りした内容をご紹介いたします🐶🐱

 

まず始めに、糖尿病とは血糖値を抑えるホルモンであるインスリンが不足し、持続的に高血糖な状態が続く病気です。

人の糖尿病で罹患率の高いⅡ型は生活習慣病とも言われていますので、わんちゃん、ねこちゃんも同じなら肥満や食生活に気を付ければ大丈夫!と思いがちですが…

インスリンが不足する原因、広義的に糖尿病を発症する要因となるものは人と犬、猫それぞれで違うのです!

さらに、人の糖尿病では視力低下や腎不全、動脈硬化など様々な合併症がありますが、犬と猫ではこれらも異なってきます。

では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?🤔

 

 

 

☆犬の糖尿病🐶

犬の糖尿病で一番に多い原因は、膵臓の中でインスリンを作る場所が穴が空くようになくなってしまうことです。獣医学的には、”ランゲルハンス島のβ細胞が空胞変性を起こす”ためです。

インスリンが産生できずその量が減り、血糖値がコントロールできなくなるという病態であり、これは人のⅠ型糖尿病に似ていますが、厳密には異なります。

人のⅠ型糖尿病はこの場所を自分の免疫で攻撃し、壊してしまう自己免疫疾患ですが、犬では空胞変性が起こる理由は分かっておらず、肥満や食生活等は直接的な原因にはなりません。

ただ、犬種好発性があるといわれていて、プードル、ダックスフンド、ミニチュア・ピンシャー、ミニチュア・シュナウザー等に多いといわれています。

当院では特にトイ・プードルの子が多い印象です🐩

 

起こり得る合併症は白内障です。糖尿病が進行し、悪化すると神経症状や腎臓への障害、脳卒中が起こる可能性もあります。

治療は主にインスリン注射になります。その他、規則正しい食事(しっかりと完食してくれるフードや糖尿病治療食)と運動(適度に無理なく!)も大切です☝️

 

 

犬の糖尿病の原因はこれだけではなく、その他にも膵炎やクッシング症候群、薬剤誘発性など、様々あります。

 

 

 

☆猫の糖尿病🐱

猫の糖尿病で多い原因は2つあり、肥満と膵炎によるものです。

肥満が原因の場合、人のⅡ型糖尿病と同様であり、インスリンを産生する際に同時に作られる”アミリン”という物質が、膵臓のインスリンを作る場所に”アミロイド”として沈着することでインスリン産生能が低下し、その量が減ってしまいます。

この状態を”ランゲルハンス島β細胞のアミロイドーシス”といいます。

フードを必要量以上に食べ太っている子はその分血糖値を抑えるためにインスリンがたくさん必要になり、同時にアミリンもたくさんできてしまうために起こります。

そのため、適切な体重管理を行うことが一番の予防となります!✨

 

 

もう一つの原因の膵炎では、膵臓が炎症を起こすことで膵臓の組織が壊されてしまい、インスリンが作れなくなってしまうことで糖尿病が引き起こされます。

この場合は直接の原因である膵炎の治療をすることが必要となります。

 

猫の糖尿病で起こり得る合併症は神経障害です。神経症状が出た猫は歩くこともままならない状態になります。また、犬とは異なり糖尿病が原因で白内障を発症することは稀です。

治療は主にインスリン注射になります。その他、太った子には糖尿病治療食、膵炎の子には病態を考慮したフードなど、適切な食事を与えることが大切です☝️

 

 

猫の糖尿病の原因もこれら以外に、薬剤誘発性、下垂体性クッシング症候群、副腎腫瘍など、様々あります。

 

 

同じ『糖尿病』でもわんちゃん、ねこちゃんでそれぞれ少し違うところがありますよね😌

しかしどちらも、血糖値のコントロールと体重の維持ができていれば、寿命を全うすることができるとされています。

糖尿病は早期発見と適切な治療がとても大切ですので、飲水量・尿量の増加、食べているのに痩せてくるなど日常の変化を見逃さず、少しでも気になることがあればお気軽に動物病院にご相談ください😊

血液検査では血糖値を測定することができますので、定期的な健康診断も早期発見にはおすすめです💉

 

糖尿病はわんちゃん、ねこちゃんどちらも中〜高齢期に発症が多い病気です。

ねこちゃんの場合は肥満が大きな発症リスクになりますので、最近太り気味かな…と思う子は今後の健康のためにぜひダイエットをご検討ください💨

わんちゃんには明確な予防方法はありませんが、適度な運動と適切な体重管理は健康の第一歩ですので、規則正しい生活をお送りください🐾