犬や猫のがんに活性化リンパ球療法・幹細胞治療という選択肢
「今のがんのステージでは手術が難しいと言われた」
「抗がん剤の副作用が心配」
「できるだけ穏やかに過ごしてほしい」
犬や猫ががんと診断されたとき、オーナー様は治療の選択に迷いを抱えることがあります。
がん治療というと、手術、抗がん剤、放射線治療を思い浮かべる方が多いでしょう。これらはがん治療の中心となる大切な治療です。
一方で、体への負担や生活の質を考えながら、補助療法を組み合わせるという考え方もあります。
今回は、木下動物病院で行っているがん治療の選択肢の一つ、活性化リンパ球療法と幹細胞治療について詳しく解説します。

■目次
1.がんの補助療法とは|治すことだけでなくQOL維持を目指す治療
2.活性化リンパ球療法とは|免疫の力を利用してがんと向き合う補助療法
3.幹細胞治療とは|炎症や組織ダメージをやわらげ、体調の維持を目指す治療
4.どんなときに相談できる?|補助療法を検討しやすいケース
5.がん治療をあきらめない|合う治療の組み合わせを一緒に考える
がんの補助療法とは|治すことだけでなくQOL維持を目指す治療
がんの補助療法とは、手術や抗がん剤、放射線治療などの標準治療に代わるものではなく、それらを支える目的で検討される治療です。
人の医療で補助療法や代替医療という考え方が広がるなか、ペットのがん治療でも「標準治療以外にできることはないか」と相談される機会が増えています。
がん治療では「どれだけ長く生きられるか」だけでなく「その時間をどのように過ごせるか」も大切です。痛みやだるさ、食欲低下が続くと、犬や猫だけでなく、そばで見守る飼い主様の負担も大きくなります。
そのため、補助療法では次のような目的を大切にします。
・体への負担をできるだけ抑えたい
・食欲や元気を保ちたい
・通院や生活の負担も考えながら治療したい
・手術後や抗がん剤治療中の体調を整えたい
・再発時や維持治療中に、治療の幅を持たせたい
もちろん補助療法だけでがんが必ずよくなるわけではありません。しかし、補助療法は、愛犬・愛猫の生活の質(QOL)を守り、より良い時間を過ごすことが期待できます。
活性化リンパ球療法とは|免疫の力を利用してがんと向き合う補助療法
活性化リンパ球療法は、犬や猫自身の免疫細胞を利用する治療です。
体の中には、異物や異常な細胞に反応する免疫の仕組みがあります。その中でもリンパ球は、がんに対する免疫反応にも関わる細胞です。
活性化リンパ球療法では、血液中からリンパ球を採取し、体の外で活性化・増殖させます。その後、増やしたリンパ球を体内に戻し、がんに対する免疫反応を助けることを目指します。
この治療は、次のような場面で相談されることがあります。
・標準治療と併用したいとき
・抗がん剤の副作用が心配なとき
・リンパ腫などで免疫療法が気になるとき
・再発後や維持治療中に追加の選択肢を考えたいとき
・体力や年齢を考慮しながら治療を続けたいとき
ただし、活性化リンパ球療法は、すべてのがんに同じような反応が期待できる治療ではありません。がんの種類、進行度、これまでの治療内容、現在の体調によって、検討の仕方は変わります。
大切なのは、「何が期待できるのか」「どこまでが難しいのか」を事前に確認することです。標準治療との関係や治療目標を確認したうえで判断していきます。
幹細胞治療とは|炎症や組織ダメージをやわらげ、体調の維持を目指す治療
幹細胞治療とは、体の中で組織の修復や炎症の調整に関わる「幹細胞」のはたらきを利用する治療です。
がん細胞を直接やっつける治療というより、炎症や体のダメージをやわらげるねらいがあります。
がん診療においては、幹細胞治療ががんそのものへの直接的な治療になるとは限りません。しかし、がんや治療の影響で全身状態が落ちている場合、炎症や体調の維持という視点から相談されることがあります。
<活性化リンパ球療法と幹細胞治療、どちらを選ぶべき?>
がんの種類や進行状況によっては、慎重な判断が必要です。どの治療が適しているかどうかは、診断名だけで決められるものではありません。画像検査や病理検査の結果、現在の症状、今後の治療方針を踏まえて検討することが大切です。
活性化リンパ球療法と幹細胞治療は、どちらも再生医療に含まれる治療ですが、考え方は異なります。
活性化リンパ球療法は、免疫細胞を活かしてがんに向き合う発想です。一方、幹細胞治療は、炎症や組織環境の調整、全身状態のサポートも視野に入れる治療と考えると分かりやすいでしょう。
どんなときに相談できる?|補助療法を検討しやすいケース
がんの補助療法は、「標準治療ができないから最後に選ぶもの」とは限りません。手術や抗がん剤と併用したり、治療後の維持を考えたりする中で、早い段階から相談できる場合もあります。
たとえば、次のようなケースであっても、ぜひご相談ください。
・手術が難しい部位にがんがある
・高齢で積極的な治療の負担が気になる
・抗がん剤の副作用をできるだけ抑えたい
・標準治療後の維持や再発時の選択肢を考えたい
・食欲低下や元気低下があり、生活の質を保ちたい
・「ほかにできることはないか」と感じている
受診時には、これまでの検査結果や治療内容があると、より具体的にお話ししやすくなります。たとえば、このような資料を可能な範囲でお持ちください。
・病理検査結果
・画像検査結果
・血液検査結果
・使用している薬
・これまでの治療経過などが分かる資料 など
「何を優先したいか」を飼い主様と共有しながら、検査結果や治療経過をもとに、今後の治療の進め方を一緒に考えていきます。
<木下動物病院のがん治療と補助療法について>
当院は、標準治療の可否だけでなく、再生医療を含めた補助療法の選択肢も踏まえながら、犬や猫の状態に合わせた治療計画を考えます。
その際には、以下のようなことを考慮して、オーナー様とより良い選択肢を考えます。
・がんの種類
・進行度
・体力
・年齢
・これまでの治療内容
・オーナー様のご希望(積極的に治療したい、通院回数を抑えたい…など)
また、当院では補助療法の一例として、このような治療の選択肢をご用意しています。
・活性化リンパ球療法→血液からリンパ球を回収し、体外で活性化・増殖させたうえで、点滴によって体内へ戻します。
・幹細胞療法→皮下脂肪などから採取した幹細胞を体外で培養し、点滴や患部への投与によって体内へ戻します。
がん治療でも特に補助療法はどの動物病院でも対応しているとは限りません。
他院で標準治療以外の選択肢がない方や、QOLと治療効果の両立について悩まれている場合もお気軽にご相談ください。
相模原エリアで幅広いがん治療も行える身近な動物病院として、寄り添ったサポートをいたします。
再生医療についてはこちらで解説しています
セカンドオピニオンについてはこちらで解説しています
がん治療をあきらめない|合う治療の組み合わせを一緒に考える
がんとの闘病生活は様々な選択肢があり、長期化することも少なくありません。
たとえ「手術が難しい」「抗がん剤以外の治療も知りたい」「もうできることがないと言われた」といった段階でも、治療方法を見直すことで選択肢が見つかる場合があります。
がん治療は、犬や猫の苦痛を和らげることはもちろん、飼い主様のご負担や価値観も尊重して、向き合っていくものです。
犬や猫のがん治療で標準治療以外の選択肢も知りたい方、活性化リンパ球療法や幹細胞治療について相談したい方は、当院までご相談ください。
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