犬・猫の抜歯はかわいそう?歯周病治療の進め方と歯科レントゲンについて
「犬の抜歯が必要と言われたけれど、歯を抜くなんてかわいそう」
「猫の口臭やよだれが気になるけれど、抜歯しなくちゃいけないの?」
「高齢で麻酔が心配…」
動物病院から抜歯の提案をされて、戸惑っているオーナー様もいるのではないでしょうか。
今回は、オーナー様に知っておいていただきたい「抜歯」の判断基準や具体的な流れをやさしく解説します。

■目次
1.犬・猫の口腔トラブルで抜歯が必要になるケース/歯を残せるケース
2.歯科レントゲンで何を見る?見た目だけでは分からない歯周病の進行
3.麻酔下で行う歯石取り・抜歯の流れ
4.「高齢の場合は?」「抜歯以外の方法は?」歯科治療のよくある質問
5.まとめ|抜歯は痛みから解放するための治療になることも
犬・猫の口腔トラブルで抜歯が必要になるケース/歯を残せるケース
動物病院での歯科診療では、歯ぐきの赤みや腫れといった炎症の程度、歯を支える骨(歯槽骨)の吸収具合、歯のぐらつき、根元の感染状況などを総合的に確認して、抜歯が必要か否かを判断していきます。
まず、抜歯を検討したいのは以下のようなケースです。
・歯周病が重度に進行している
歯が大きくぐらついている場合は、歯を支える歯槽骨や歯周組織がすでに大きく失われており、歯としての機能を保つことが難しいため、抜歯が必要になることがあります。
・歯根周囲の感染(歯槽膿漏など)や顎の骨へのダメージがある
感染した歯をそのままにすると、痛みや腫れを繰り返したり、膿がたまったりすることがあります。さらに、口腔内の細菌や炎症が全身の健康に影響する可能性もあるため、感染源となっている歯の抜歯を検討します。
一方、歯周病が軽度から中等度で、歯を支える骨がある程度保たれている場合は、歯を残せる可能性があります。歯石除去や歯周ポケットの洗浄を行い、ご自宅でのケアも継続して、口内環境を悪化させないようにしましょう。
歯科レントゲンで何を見る?見た目だけでは分からない歯周病の進行
お口の中を簡単に見ただけでは、歯の健康状態を把握することは困難です。
なぜなら、歯周病の本質的な病変は、肉眼では見えない「歯ぐきの中」や「顎の骨」の中で進行するからです。そこで重要になるのが、歯科レントゲン検査です。
歯科レントゲンでは、主に以下のようなポイントを確認していきます。
・歯の根元が途中で折れたり、溶けたりしていないか
・歯をしっかりと支えている周囲の骨が、どの程度失われているか
・歯の根尖部(根元の先端)に、膿の袋や隠れた炎症が発生していないか
・どの歯が治療によって残せるか、あるいは抜くべきかの正確な見極め
お口を開けて観察したときは、きれいで残せそうに見える歯であっても、レントゲン写真を撮ってみると、根元がスカスカに溶けて重度の感染が起きているケースは珍しくありません。
抜歯の必要性は、画像検査による客観的なデータをもとに慎重に判断することが大切です。
麻酔下で行う歯石取り・抜歯の流れ
犬や猫の歯科治療は、人間のようにじっとしていてもらうことができないため、安全性を最優先して全身麻酔下で実施します。
治療全体の一般的な流れは以下の通りです。
1. 問診・視診:口臭やよだれ、食べ方、お口周りを触ったときの反応などを確認し、痛みや違和感の有無を調べます。
2. 術前検査:年齢や持病をふまえて血液検査などを行い、全身麻酔が可能かどうかを評価します。
3. 麻酔下での口腔内検査:歯のぐらつきや歯周ポケットの深さ、奥歯の裏側などを詳しく確認します。
4. 歯科レントゲン検査:外からは見えない歯の根元や顎の骨の状態を確認し、抜歯が必要かどうかを判断します。
5. 歯石除去・研磨:残せる歯に対して、歯石除去と表面の研磨を行い、汚れを落とします。
6. 抜歯・縫合:強い痛みや感染の原因となっている歯は抜歯し、必要に応じて歯ぐきを縫合します。
7. 麻酔からの覚醒・帰宅後の説明:内服薬の与え方や食事内容、歯みがきを再開する時期など、ご自宅でのケア方法を説明します。
当院では、歯をきれいにする処置だけでなく、治療後の再発を防ぐためのデンタルケアも重視しています。
口内環境の悪化を防ぎ、抜歯が必要になる前の段階からケアを始めることは、愛犬や愛猫の負担を軽減するうえでも大切です。
歯磨きの方法やお口の状態に不安があるオーナー様は、お気軽にご相談ください。
「高齢の場合は?」「抜歯以外の方法は?」歯科治療のよくある質問
年齢や麻酔、抜歯について、オーナー様が抱きやすい疑問にお答えします。
Q.高齢の犬や猫でも、麻酔を使った歯科治療は受けられますか?
A.全身状態を確認したうえで、治療を検討できます
高齢であることだけを理由に、麻酔や歯科治療を諦める必要はありません。心臓病や腎臓病などの持病がある場合は、事前検査の結果をもとに麻酔計画を立て、安全性に配慮して治療を進めます。
麻酔のリスクだけでなく、口の痛みや炎症を放置するリスクも含めて判断することが大切です。
Q.抜歯をせずに治療できる方法はありますか?
A.歯の状態によっては、残せる可能性があります
歯を残せるかどうかは、歯根や顎の骨の状態を確認したうえで判断します。そのため、必要に応じて歯科レントゲンなどの検査を行います。
当院ではセカンドオピニオンにも対応し、抜歯が必要な理由や歯を残せる可能性を検討したうえで、オーナー様のお考えやその子に合った治療方針をご提案します。
まとめ|抜歯は痛みから解放するための治療になることも
犬や猫にとっての抜歯は、決してかわいそうなだけの処置ではありません。むしろ、毎日の食事を阻む激しい痛みや、体の中に広がる細菌感染の源を根本から取り除く助けにもなりえます。
「口臭が強くなった」「よだれが増えた」「歯がぐらつく」「食べにくそうにしている」といった変化は、歯の痛みやお口のトラブルのサインかもしれません。抜歯が必要な状態になる前に、気になる段階で動物病院へ相談することも大切です。
木下動物病院は1979年の開院以来、相模原市で犬や猫の診療に取り組んできました。オーナー様のお気持ちに配慮しながら、検査結果や愛犬・愛猫の状態に応じた治療方針をご一緒に考えることを心がけていますので、歯科治療や抜歯に不安がある場合もぜひご相談ください。
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