犬や猫の歯周病が怖い理由|全身への悪影響とは
犬や猫の歯周病は、口の中だけの問題と思われがちですが、実は体全体の健康にも深く関わります。
普段は元気に見える犬や猫でも、歯周病はゆっくり進行するため気づきにくい点が特徴です。
今回は、歯周病の基礎知識から全身への影響、日々のケアに役立つ情報までわかりやすくお伝えします。

■目次
1.犬と猫の歯周病とは?基本的な仕組み
2.歯周病が全身へ広がる理由
3.どんな全身疾患につながる?
4.家で気づきやすい歯周病のサイン
5.動物病院でできること|早期発見と治療
6.ご家庭でできる予防ケアのポイント
7.まとめ|お口のケアは全身のケアにつながる
犬と猫の歯周病とは?基本的な仕組み
歯周病は、歯垢がたまることから始まります。歯垢は細菌の塊で、そのまま放置すると硬くなって歯石へと変化します。
歯石が増えるにつれて歯ぐきに炎症が起こり、歯周ポケットが深くなると、細菌がさらに繁殖しやすい環境になります。
犬や猫は人よりも歯石ができやすく、定期的なケアをしないと炎症が進みやすいといわれています。
特に猫では、免疫の反応から口内炎を伴うケースもあり、痛みによって食べづらさが出ることがあるのです。
歯周病が全身へ広がる理由
「口の病気なのに、どうして全身に影響するの?」と思われるオーナー様も多いかもしれません。
その理由は歯ぐきの炎症が続くと細菌が血液中に入り込みやすくなるためです。細菌は、口から血管へ、そして全身へ運ばれて、心臓や腎臓、肝臓などに負担をかけてしまいます。
また、慢性的な炎症が続くと体は常に免疫を働かせる状態になります。こうした負担は年齢を重ねた犬や猫や持病がある子にとって、特に大きな影響を与えることがあります。
どんな全身疾患につながる?
歯周病によって引き起こされる可能性がある全身疾患として、いくつか代表的なものをご紹介します。
<心内膜炎>
細菌が血液を通って心臓にたどり着き、内膜に炎症を起こす状態です。
初期段階では病気が分かりづらく、気づいたときには心臓の働きに影響が出ているため、大変危険です。
<腎臓・肝臓の疾患>
腎臓と肝臓は、細菌や炎症の影響を受けやすい臓器といわれています。
特に歯周病が長く続くと、細菌や炎症物質が血液を介して全身を巡り、腎臓では「腎炎」や「慢性腎臓病」、肝臓では「肝炎」や「肝機能障害」といったトラブルにつながることがあります。
<糖尿病>
歯周病の炎症が続くと血糖値に影響しやすく、糖尿病のある犬や猫では特に悪循環を招くことがあるため、口腔ケアは大切なポイントです。
シニア期の犬や猫は、臓器や調節機能が年齢とともに弱りやすくなります。
そこに歯周病による慢性的な炎症が重なると、より負担が大きくなりやすい点も注意したいところです。
家で気づきやすい歯周病のサイン
歯周病は気づきにくい病気ですが、オーナー様がご家庭で観察できるサインはいくつかあります。
たとえば
・口臭が強くなった
・よだれの量が増えた
・口元を触られるのを嫌がる
・食事中に噛みにくそうにしたり、片側だけで噛もうとしたりする
・食欲がいつもより落ちた ……など
歯ぐきの赤みや出血、歯のぐらつきが見られると、歯周病がかなり進んでいる可能性があります。
犬や猫は痛みを隠してしまうことが多いため、控えめなサインから気づいてあげたいですね。
動物病院でできること|早期発見と治療
なにより大切なのは「予防」と「早期の発見」です。
健康診断など定期的にお口の健康チェックをしながら、ケアを動物病院と一緒に続けていく習慣をつけていきたいですね。
歯周病が疑われたとき、動物病院では口腔チェックや必要に応じてレントゲンを撮り、歯の根や顎の骨の状態までしっかり確認します。
治療では、麻酔下でのスケーリング(歯石除去)を行います。麻酔を使用することで細かい部分まで安全に処置でき、歯周ポケットの奥にたまった汚れも丁寧に取り除けます。
重度まで進行している場合は、痛みを減らすために抜歯を選択することもあります。抜歯と聞くと心配されるオーナー様も多いですが、炎症部分を取り除くことで食事がしやすくなり、生活がぐっと楽になる犬や猫は少なくありません。
当院では院内外の勉強会を通して知識と技術を高めたスタッフが、診察・処置・ケアまで丁寧に対応します。
治療だけでなく、歯みがきの練習方法やホームケアのアドバイス、治療後のケアプランのご提案も行っていますので、「ちょっと気になることがある」程度でも気兼ねなくご相談くださいね。
ご家庭でできる予防ケアのポイント
歯周病の予防で最も効果的なのは、日々の歯みがきです。
いきなり歯ブラシを使うのが難しい場合は、まずはガーゼで歯の表面をそっと拭く練習から始めてみると良いでしょう。
慣れてきたら犬や猫用の歯ブラシに移行し、少しずつブラッシングを習慣にしていきます。
歯みがきがどうしても難しい場合は、デンタルガムや口腔ケアサプリを併用する方法もあります。ただし、それだけで歯周病を完全に防ぐことは難しいため、歯みがきとの組み合わせが理想的です。
子犬や子猫の時期から口を触られる習慣をつけることは大きなメリットになります。
もちろん成犬・成猫やシニア期の犬や猫でもケアは続けられますので、無理のない範囲から始めてみてください。
まとめ|お口のケアは全身のケアにつながる
歯周病は口の中の問題だけではなく、犬や猫の全身の健康に影響することがあります。
口臭が強くなったり、食べづらそうにしたりする様子が見られたら、早めに動物病院へ相談する一つのきっかけになります。
日々のケアと定期的な口腔チェックを組み合わせることで、歯周病の進行をしっかり防ぐことができます。
ご家庭でのケアに加え、動物病院でのサポートを上手に取り入れながら、犬や猫の健康を守っていきたいですね。
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